家族構成 2






前回のページに続いて漫画の中に出てきた情報と推測交えて家族構成をみていこうと思います。









白石
主要人物ですが、家族の話は一度も出ていません。
幼年期より繰り返し収監されていた過去があるので、家族よりも囚人達の方が身近であったというやや特殊な環境の中で白石は大人になっています。
家族とは違いますが、網走収監時代の 白石辺見後藤二瓶 の組み合わせ結構、好きです。



キロランケ
ロシアより亡命してきて北海道の地で結婚し、息子2人を設けています。
もともとは畑を耕すまでに戻る予定だったのに長期間家を空けてしまうことになってしまったキロランケ。
彼曰く、奥さんは強い女なので1人でも大丈夫だそうです。
核家族化が進む現代社会の中で子育て中に単身赴任されてしまったら大変だけれど、アイヌの村はみんなで子育てをする文化が根強いので子育てについては不安は少なそう。

キロランケ、君だけが安定した家庭を持っているので早く帰ってあげてね



インカラマツ
幼少期より既に天涯孤独で放浪をしていた
小樽でウイルクと出会い北海道の言葉や文化を教える
先祖代々受け継いできた占いの道具がある

少女が村を出て放浪生活を送らざるを得ない理由はやはり、なにかあるのではないのかと思いました。
また時間のある時彼女の言動を纏めてみたいと思います。
以前明治期に出版されたアイヌ文化に関する本を読みました。
その不思議な力の精度はかなり高く、それを利用して狩を行なっていたそうです。

インカラマツ、フチ、三船千鶴子と第六感を使うキャラクターが何人か出てきているのは神秘主義が流行していた時代だからかな、とも思いました。



チカパシ
親兄弟全員疱瘡で亡くなり天涯孤独となっています。
杉元と同じ境遇で流行り病でチカパシを除いた一家が全滅しています。
正式な名前を貰う頃、6歳前後で1人になったと思われます。
結核と違う点は疱瘡は発病してから死に至るまで半月程である短期型です。
また皮膚に現れる病状から忌み嫌われていました。

8巻でマカナックルに
>変わった子で村の子とは遊ばない
 と言われていますが、もしかしたら疱瘡が原因で仲間に入れてもらえなかったのかな、と思いました。アシリパはコタンに帰るとたくさんの子どもや村の人が出迎えてくれるけれど、チカパシにはそんな人はいないと彼は語ります。面倒を見てくれる人はいるけれど、それでもチカパシの孤独が伝わってきます。

アイヌには疱瘡の神さまが
いて、心を通わせた人だけは病気にならないという神話があります。チカパシも不死身の杉元と同じく子どもながら免疫力に優れ、神さまに愛されているのかな。(疱瘡の神さまについては作者のブログでも興味深い内容とともに紹介されていました。読んでね)

兄弟がいた、とのことですのでもしかしたらお兄ちゃんだったかな。弟かな。


月島基
殺人を犯した噂のある父親とともに佐渡島で悪童として暮らしていました。
母親の存在はわかりません。
恋人を自殺に追い込んだ噂の張本人として父親を撲殺しますが、真相は闇の中です。
月島の地元の人間に関しては情報が「噂」ばかりで信憑性に欠け、少し霧がかかってる気分です。
また、エゴ草ちゃん一家の消息が気になるところです。

何度かキーワードとして出てくる
【親殺しの通過儀礼】に彼もまた、不本意ながら倣っています。
月島も虐待されて育った不遇の環境のもと大人になりました。

教育心理学の中では、父親の不在は情緒面の成長に著しく影響を与えると言われています。
月島自身は逆境にも負けず立派な軍人へと成長しましたが、本人の意思に関係なく周囲の人間に人生をいじくられています。


二階堂浩平
質問箱の回答により、浩平の方が少し早く産まれたそうです。
あっ!と思ったのですが、確か昔は後から出てきた方を兄としていたそうですが明治半ばに産まれた場合はどうなんでしょうか。

wikipediaによると、
18741213日の太政官指令により「前産ノ児ヲ以テ兄姉ト定候(先に産まれた方を兄・姉とする)」と多胎児の兄弟姉妹の順が定められた。それ以後、少なくとも法令上は出生順により兄弟姉妹が決められている。ただし、この「後から生まれた方が兄(姉)」という考え方は直ぐには改められなかったようで、例えば明治25年(1892年)に生まれたきんさんぎんさんは後から生まれたきんが姉となっている。18981012には司法省民刑局長が「出生ノ前後」をもって順序を定めるように再度の通達を出している。

この戸籍の法律は欧州に基準を合わせてのことだと思いますが、なかなか浸透しなかったようですね。
浩平と洋平、どっちがお兄ちゃんなのかな。
本人達にそのような意識はないような気もします。

洋平が杉元に殺されて以来、浩平は復讐を誓って四肢を喪っている悲しさがあります。
ちょっとずつ天国に体の一部を送り届けてる


犬童四郎助
意外にも弟キャラクターの彼は40年前の箱館戦争で兄を亡くしています

門倉看守部長
犬童が在籍していた藩と敵対する尊皇派の父は戦争で敗れています
犬童と門倉はちょっぴり微妙な関係性だったんですね


江渡貝弥作
おそらく一人っことして育てられていた江渡貝くん
才能を認めてくれた父が母に殺され、父親を剥製にします。
また母親も心臓発作で病死すると同じように剥製にし、一緒に暮らしていました。
ダイニングには他にも男性の姿があり、墓地から拾ってきたものと思われます。

8巻でかなりさらっと家族について説明されていましたけれど、断トツで闇の深さを感じますね。
何があって、父は殺されたのでしょうか。浮気でしょうか、男性器が許せなくて江渡貝くんも手術させ機能しないように施してしまったのでしょうか。
母親の愛情が重たいです。
死後も彼女の言葉に囚われてる江渡貝くんは鶴見の指導で母親の剥製に銃を撃ちます。
これも【親殺しの通過儀礼】でしょうか。
江渡貝くんの心に居座っていたものは消えて彼は解放されました。


日泥新平
血の繋がらない婿養子の父親母親を撲殺
父親尾形が射殺

ここの家庭も複雑で新平が父に殺されかけてる所を尾形が射殺しました。
【親殺し】のキーワードが出てきますが、新平は親との関係に蝕まれるほどの苦痛や苦しみは受けておらず、生来の穏やかさから殺意の沸点まで上がることはありませんでした。


三船千鶴子
詐欺師青田 義兄  数少ない妹キャラですね


二瓶
15人の子どもと妻とは絶縁状態
もうこの説明だけで十分すぎるくらいの情報が伝わってきます。
精力の強い二瓶らしい子沢山っぷりです。
ただ1人の息子を日清で亡くしてるそうで、語る二瓶は少し寂しそうでした。

二瓶の勃起谷垣の勃起チカパシの勃起
この受け継がれていく経脈の流れが好きです。

色濃い父親不在の影ですが、父親代わりになってくれるキャラクターがいるんです。


後藤
酔った勢いで妻子を殺害
ク、クズですね


坂本慶一郎、お銀
一人息子を設けていますが彼ら亡き後は鶴見の手によって
アシリパのコタンで赤ちゃんは育てられています

将来的にアシリパの弟になるのでしょうか



こうしてみると、登場してきたキャラクターの中で家族が誰も欠けていないのはキロランケの家だけだということがわかりました。
3家族は流行り病によって悲しい目をみて、尾形と月島が父親殺しを経て、(江渡貝くんは母親殺し)戦争があり、今北海道の土地で金塊を巡って争っています。

あ、忘れていましたが野間くんのお爺さんは炭焼きの仕事をしていてヒグマに襲われていましたね。

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